みなさん、世界カワウソの日はご存知でしょうか?
世界カワウソの日は、簡単にまとめるとカワウソの仲間たちの現状やこれからについて世界中で考えよう!という目的で毎年5月の最終水曜日に制定された日になります。
今年は5月28日。
世界には13種類のカワウソの仲間たちがいます。
そのうちの1種であるコツメカワウソが当園では飼育されています。
日本の動物園や水族館では比較的飼育している施設が多く、メディアやSNSにもよく出てくる動物なので知らない方はほぼいないかもしれません。
カワウソの仲間たちの多くは、今、絶滅の危機にさらされています。
コツメカワウソも例にもれず、絶滅の危機真っ只中。
国際自然保護連合のレッドリストではVUに指定され、ワシントン条約では付属書Ⅰに掲載されています。
レッドリストのVUというカテゴリーは、日本では絶滅危惧Ⅱ類とよばれ、絶滅の危険性が増大している動物が指定されます。特に絶滅の危機が高いとされているカテゴリのうちの1つということです。
また、ワシントン条約の付属書Ⅰは商業目的の取引は全面禁止という一番規制の強いカテゴリです。
では、なぜコツメカワウソは絶滅の危機にあるのでしょうか?
開発により住める場所が少なくなったり、ペットとしての需要で密猟されたりしていることが主な原因と考えられています。
この原因に私たち日本人が実は関係していることを知っていますか?
日本ではメディアやSNSでかわいい様子やペットとしての姿を紹介され、カワウソの人気が高まると同時にペットとしての需要も一気に高まりました。そうすると…。
需要があるということは、密猟者にとってはチャンスになります。
現にペット需要による密猟での最大の密輸先は日本だと言われています。
密猟のターゲットは幼獣で、かむ力の強い親カワウソは密猟時に邪魔になるので殺されてしまうそうです。また、密輸の際にスーツケースなどにつめられた幼獣は次の場所へたどり着く前に死亡していることも。それでも、日本に密輸すれば100万以上の値がつくこともあるそうで、密猟がなくなることもありません。
私たちの「かわいい」「飼いたい」という欲が野生のカワウソを追い詰めていることがあるのです。需要がある限り、密猟はなかなか無くなりません。
今回、カワウソの数が減った原因について改めて振り返ると私自身も反省すること多くありました。動物園でも日々SNSなどで動物について様々な情報や近況をお届けしています。なるべく動物の面白さ、魅力を伝えるためにと思うのですが、こちらの意図しない方面での伝わり方になってしまったり、かわいいだけで終わってしまったりすることもあります。
かわいいを届けることは簡単ですが、かわいいに甘んじずその動物本来の魅力や面白さを出来るだけ伝えられるようにしなければならないなと思います。
以上、カワウソを考える日に色々考えてみました。皆さんもぜひこの日を機会に世界のカワウソたちに思いを馳せてみてください。そして、興味をもった方はカワウソについて調べてみてください。このブログではなぜかコツメカワウソは数が減ったのかについてフォーカスしてみましたが、調べてみると他にも色々な情報が見つけられると思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!
臨時カワウソ担当 にしかわ