あれだけ暑かった夏がうそのように、朝晩はすっかり冷え込むようになりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
動物園の木々も少しずつ色づきはじめ、季節はあっという間に冬の入り口です。
さて我々人間の世界ではそろそろ「冬支度」がはじまる頃。衣替えをしたり、早い人はもうコタツやストーブを出したり、エアコンの掃除をしてみたり・・・
では動物園ではどんな冬支度をしているでしょう?
ボイラー点検からはじまる冬
ゾウ舎やサイ舎などの大きな獣舎では、寒くなる前にボイラーの点検が行われます。ボイラーとは、いわば動物たちの大型暖房装置。お湯を沸かして、その熱を温風やパネルヒーターとして使うもので、寒い冬を乗り切るための生命線です。

半年ぶりにスイッチを入れるので、ちゃんと動くが少しドキドキ。修理が必要な場合は業者の方に依頼して、冬に備えます。
他の獣舎では、夏の間お世話になった扇風機を片付けて、代わりに赤外線ヒーターを設置したり、オイルヒーターを運び込んだり。冬支度の季節はまるで引っ越しでもしているかのような忙しさです。

一方、かみね動物園にいるペンギンや猛禽、ホロホロチョウやタンチョウなど、鳥類たちの冬支度は少し特別です。それが「鳥インフルエンザ対策」。
鳥インフルエンザとは、主に渡り鳥などが運ぶウイルスによる病気です。中でも「高病原性」と呼ばれるタイプは、感染した鳥が重い症状を起こし、短期間で命をおとしてしまう事もある、非常に怖いウイルスです。よくニュースで目にすることも多いかと思います。例年、国内では秋から冬にかけて野鳥の渡りが活発になるため、この時期は特に
注意が必要で、動物園では緊張感が高まります。
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そうそう、渡り鳥といえば園内で見られる野鳥でこんなのがいます。

オレンジ色で分かりやすいので私が好きな野鳥です。ブログを書いている最中に園内で発見したので、余談としていれさせてください。
ジョウビタキなど冬限定で日本でみることのできる''冬鳥''を見つけるのも、季節の移ろいを感じさせてくれて楽しいです。
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話はもどりまして、動物園では鳥インフル対策のひとつとして、野鳥と動物園で飼育している鳥類たちの接触をさけるために、獣舎を防鳥ネットで囲って野鳥が入り込まないようにしています。しかし、今まで設置していたものは紫外線でボロボロになったり、破れてしまったので一度全て取り外し、新しいものを注文してもらいました。

届いたのがギリギリだったのもあり、鳥類担当は大慌て!全国各所で鳥インフルエンザの報告がちらほら上がり始めたなか、急ピッチで作業を進めました。獣舎全体を覆うので結構な重労働。そのうえ細かい隙間ができないようにかつ見栄えもできるだけ損なわないように気にしながらピーンときっちり張ります。


少し見えづらくなってしまいますが、動物たちを守るためにもみなさまにはご理解のほどよろしくお願いします。
このように書くと、鳥たちは寒さが苦手なのかな?と思うかもしれませんが、実は鳥は羽毛が生えているため、基本的にはとても寒さに強い生き物です。そのため冬に気を付けるべきは’’寒さ’’より’’ウイルス’’。飼育員たちは鳥たちの元気な姿を守るため、見えない敵との戦いを続けています。
さてちょっぴり動物園の冬支度を紹介してみましたが、こうして冬支度をしていると、あっというまに今年も終わりか~となんだか少し寂しい気もしますね。みなさんも冬の寒さとウイルスには十分気をつけてお過ごしください。
(最近風邪引いてばっかり 日野)